企業変革 連続小説 「Break your shell」 46

■チェス? 将棋じゃなくて  足立店の営業がノートパソコンへの情報入力をさほど苦にせず対応していた。工事担当も同様だった。それを見ながら酒井が指示を出し、店舗に情報が無い場合は他の店舗へ電話して情報を入手したりしていた。 「ゆくゆくは他の店舗に電話せずとも、検索して一発で情報が入手できるようになるんだよね」 酒井がそう言うと、営業事務の高野が喜んだ。 「それめちゃくちゃ嬉しいです、酒…

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企業変革 連続小説 「Break your shell」 45

■小さな成功  5月になって世間はゴールデンウィークだと浮かれる一方、太陽リフォームは書き入れ時と言えた。契約の意思決定者は奥様ではなく旦那様の場合がほとんどだ。旦那様が家にいるとなれば、営業はすかさずお宅にお邪魔することになる。それにあわせて本社業務も動かす必要があり、カレンダー通りに休むと言う風習はなかった。  同時にプロジェクトメンバーも、連日連夜遅くまで各タスクの対応が続いた。石…

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企業変革 連続小説 「Break your shell」 44

第4章 No plight, No glow up 試練が人を磨く ----------------------------------------------------------------------  勢いに乗ったプロジェクトメンバーたちは、苦労を伴いながらもタスクを確実に実行していく。そしてそれを徐々に受け入れる従業員たち。太陽リフォームの風土改革は予想に反し…

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企業変革 連続小説 「Break your shell」 43

企業変革の“つぼ” まとめ3 ・違う環境にいる相手から自分とは真反対の意見があったときは、自分を客観視すべき貴重なタイミング ・組織全体の声を意識せずに、自分たちだけを信じて盲目になってしまったチームは、風土改革プロジェクトにおけるリスク以外の何物でもない。 ・信じて任せるということを、自由にやらせることだという者がいる。だが、それは怠慢以外の何物でもない ・言葉…

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企業変革 連続小説 「Break your shell」 42

■最悪の評価  この日は全員が会議室に集まって、食い入るように各自のパソコンの画面をのぞいていた。 「ここって、駅から何分?」 「綺麗なビルね」 「家賃高そう、坪単価はどれくらい?」 「駐車場はどうなるんだろう」  ついに移転先が決まったようだ。新社屋の場所はJRの町田駅から徒歩5分、全面を白いタイル貼りで覆った20階建のオフィスビルだ。ワンフロアの広さは今の10倍以上で、そこの…

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企業変革 連続小説 「Break your shell」 41

■ついに勃発 街の寒さは徐々に緩んで、先月までの寒さをもう忘れたかのようだった。 今年は暖春だと天気予報でよく耳にする。それは街の至る所に見える桜の木の枝を見ればわかった。今週末にも開花するだろう大きなつぼみがいくつも見えた。 「やあ、丸山君。今日からですね。よろしくお願いします」 コートを脱ぎながらロビーに入ってきた丸山を水戸が迎えた。丸山の他に若い男性もいる。彼のほうはコートは着…

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企業変革 連続小説 「Break your shell」 40

■全体の巻き込み 「佐倉さん、⑪番の実行施策、サブメンバーとの検討会の段取りはどうなってますか?」 「はい、全部の課と打ち合わせ日程は組み終わりました。まずは明後日、人事課からスタートします。各課の役職ごとに求められる能力を洗い出してもらえるように記入フォーマットを配布しています。ですが、ちょっとわかりづらかったのか、ほとんどの課から質問が来ています」 「そうだね、サンプルは工事管理課…

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1.1=1だけど、1+0.1>>1になる戦法

日本の会社に共通した”すごいところ”を聞かれれば、私は必ず「商品レベルの向上を断続的にやる」ところを挙げたくなります。 例えば家電。毎年毎年新しい商品が出てきて、昨年のモデルと何が違うの?と思ってしまいます。店員さんに商品説明を聞いたり、カタログを見たりすれば 「へぇ、確かにその改良はいいかも」 と確かに感じます。 ただ、メカに弱い私は、10年前のモデ…

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