企業変革 連続小説 「Break your shell」 42

■最悪の評価  この日は全員が会議室に集まって、食い入るように各自のパソコンの画面をのぞいていた。 「ここって、駅から何分?」 「綺麗なビルね」 「家賃高そう、坪単価はどれくらい?」 「駐車場はどうなるんだろう」  ついに移転先が決まったようだ。新社屋の場所はJRの町田駅から徒歩5分、全面を白いタイル貼りで覆った20階建のオフィスビルだ。ワンフロアの広さは今の10倍以上で、そこの…

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企業変革 連続小説 「Break your shell」 41

■ついに勃発 街の寒さは徐々に緩んで、先月までの寒さをもう忘れたかのようだった。 今年は暖春だと天気予報でよく耳にする。それは街の至る所に見える桜の木の枝を見ればわかった。今週末にも開花するだろう大きなつぼみがいくつも見えた。 「やあ、丸山君。今日からですね。よろしくお願いします」 コートを脱ぎながらロビーに入ってきた丸山を水戸が迎えた。丸山の他に若い男性もいる。彼のほうはコートは着…

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企業変革 連続小説 「Break your shell」 40

■全体の巻き込み 「佐倉さん、⑪番の実行施策、サブメンバーとの検討会の段取りはどうなってますか?」 「はい、全部の課と打ち合わせ日程は組み終わりました。まずは明後日、人事課からスタートします。各課の役職ごとに求められる能力を洗い出してもらえるように記入フォーマットを配布しています。ですが、ちょっとわかりづらかったのか、ほとんどの課から質問が来ています」 「そうだね、サンプルは工事管理課…

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