・「『実態BS』をつけてくれ」
・「『債務償還年数』をつけてくれ」
と言われることがあります。
「実態BS」とは、回収できない売掛金、不良在庫などが簿価としてBSに計上されているかもしれないわけですが、こういった価値のない資産を減額して評価し直すのが、実態BSです。逆に、30年に購入した簿価2000万円の土地がの時価が1億円となっていることなど、保有資産に含み益がある場合はプラスに評価することもあります。
また、中小企業は経営者の個人資産を会社と一体とみなして評価、という見方をする場合があり、例えばローン残高がない社長個人の自宅が6000万円の時価で評価できるとしたら、この6000万円を実態BSとして加えましょう、ということもあります。事業計画書を作成するきっかけとなったステークホルダーと話をしながら、この項目を加えたほうがよいかどうか、確認するとよいでしょう。
作成したBS上に直接この修正を加えるのではなく、BSの下の部分に修正項目を加えた行をの合計を、簿価BSの純資産合計に合算します。
「債務償還年数」ですが、これは金融機関の自己査定において重要なウェイトを置かれていることから、事業計画書すなわち支援対象企業の評価という点で、作成を求められることがあります。
計算式は、①要償還債務 ÷ ②キャッシュフロー です。
①要償還債務 = 金融機関有利子負債 - 正常運転資金 - 現預金 - 換金性のある有価証券
②キャッシュフロー = 償却前経常利益 - 法人税
さらに、②は設備投資控除後の指標も加えておくとよく、
②キャッシュフロー = 償却前経常利益 - 法人税 - 設備投資額
と計算してください。
設備投資控除前の債務償還年数が、事業計画書を作成した期間中に10以内になっているようであれば、事業計画全体のレベル感としては問題のないレベルです。計画期間中の債務償還年数が30、40、50、またはそれ以上のままの事業計画書では、事業計画書を策定した目的を達成できないかもしれません。例えば、リスケをお願いできない、設備資金調達をできない、借り換えをできないなどです。
金融機関などのステークホルダーに対し、一回提出してから、慌てて内容を修正するのは、中身の信憑性を下げる行為ですので、事前にこの指標を意識しながら、実行計画のレベルから見直すことも考えてみてください。
ここまで成果物を作成しておいて、最後「それなんですか?」と回答してしまっては、コンサルタントとして経験の浅さが露呈してしまいますので、初めからつくっておくのもありかと思います。社長の個人資産までつっこんでヒアリングをして、「なんでそんなこと聞くの?」と不審がられないような事前の説明はもちろん必要ですよ(笑)。
もっと詳しく、事業計画書(財務諸表)の作り方を知りたい方は
⇒こちら
事業計画書(財務諸表)作成の実務(受注方法・報酬・同業差別化ポイントなど)を知りたい方は
⇒こちら(メルマガで配信しています)