本ブログでは、細部解説は省いておりますが、これまでの作業で、PL(損益計算書)、BS(貸借対照表)がほとんど出来上がっている状態になっているはずです。
CF計算書は、PLとBSができていれば、あとはセルをリンクさせれば完成させることができます。CF計算書の構造は、営業CF、投資CF、財務CFの3つにわけることができます。営業CFは税引前当期利益をスタートとして、現金の動きを足し算引き算していきます。
たとえば、売掛金が前期末1,000から今期末2,000に増えていたとします。売掛金が増えているということは、売上を計上したけど、まだ現金が入ってきていないことを意味しています。
PLには売上が計上されて、その分の利益がPL上計上されたように見えていますが、実際はその分のお金が入っていないのです。この部分を、現金の動きとして修正を加えるのがCF計算書です。
売掛金についてこの修正を加えるためには、今期末2,000と前期末1,000の差分の1,000を、税引前当期利益からマイナスします。
この修正作業を他の項目でもやっていくわけです。他には棚卸資産の増減、買掛金の増減、未払金の増減などです。減価償却費についても修正します。
初めはこのあたりを難しく感じる方がいらっしゃいますが、excelでPLとBSが作成できていれば、CF計算書上で、一度計算式を作ってしまえば、事業計画書の作成としては、難しいことはありません。
次は投資CFですが、事業計画期間中に設備投資を行う場合は、その分だけのお金が外に出ていくことになりますので、投資計画の中に反映します。キャッシュのフローとしては、設備の調達はマイナスです。第9回で解説した投資計画からリンクさせれてばよいでしょう。調達はマイナスです。
財務CFは、財務上のお金の動きです。つまり返済計画からリンクさせてください。もし事業計画期間中に新たにお金を調達することがあれば、この項目で計算させましょう。キャッシュのフローとしては、返済はマイナスで、借り入れはプラスです。
あとは、ポイントがあるとすれば、第14回の解説で、返済計画をFCFの○%にしましょう、というケースがあるということをお話ししましたが、循環参照についてでしょうか。約定通りの返済であれば、返済数値が独立したデータになりますので、財務諸表作成上問題になることはないのですが、返済計画をFCFの○%にしましょう、とした場合は問題が生じます。
excel上の循環参照の問題です。FCFを決めるためには、PLとBS上の各データが先行情報になります。ところが、FCFで決めた数値に従って返済額と支払金利額が決定されることになるため、循環参照が生じます。
どこかで循環参照を切らないとなりません。このため、FCFの数値は別枠に値貼り付けをして、ここから返済額を計算させるようにしましょう。この場合、何度か値貼り付けを繰り返すと、貼り付ける前の数値と貼り付けた後の数値が一緒になりますので、その状態になれば、財務諸表間の整合性が取れた状態になっているはずです。
もっと詳しく、事業計画書(財務諸表)の作り方を知りたい方は
⇒こちら
事業計画書(財務諸表)作成の実務(受注方法・報酬・同業差別化ポイントなど)を知りたい方は
⇒こちら(メルマガで配信しています)