この場合、「事業計画書の策定をメインバンクに求められた」ということが、事業計画書を策定するきっかけになっているものと思います。さらに、もしかしたら、金融機関から借り入れているお金を、契約通り返せない資金繰り状態ではないでしょうか?
もし、「その通り」ということでしたら、支払金利と返済計画については、金融機関から提示されている書類通りの内容にはなりません。約束通りの返済ができないということは、元本が予定ほど減っていきませんから、支払金利の額も、残高も変わってきます。
事業計画書の財務諸表を策定する前に、どんな改善内容や施策を盛り込むかを前提に数値計画を策定しているわけですが、その数字的結論であるPLやBSの動きからCFが計算されますので、事業計画上、いくら返済に充当できるのかをが計算できます。
具体的には、資金繰りが厳しい(=手元に十分な資金がない)から返済ができないわけなので、計画各年度で生み出す収益から、いくら返済に回せるのかを計算することになります。計算式としては、CF計算書で計算されるFCF(=営業CF+投資CF)がその数値になります。
PL上の利益だけでは実際のお金の動きを把握できませんから、実際のお金の動きの結果であるFCFをベースに計算します。FCFは投資CFを反映していますので、事業継続に必要な設備投資のお金を確保しつつ、返せる金額を返していきます、という姿勢を示すのです。多くのケースでFCFの7割、8割という考え方が浸透しているでしょうか。もちろん、個別案件ごとにこの考え方は違いがあってもかまいません。
メインバンクを含む各金融機関が、事業計画全体の内容に理解を示してくださるようなら、「事業計画の内容について理解した。現実的に可能な額の返済(FCFの○%で)でしばらく支援します」という、条件変更状態になります。金融機関のご理解・協力を得て、当面、計画で示した内容の返済を行っていくことになります。
次に、各金融機関に対して、いくらずつ返済すればよいかということになりますが、各金融機関で残高が異なるものと思います。残高が異なるのに、返済について各行一律○万円では、不平等です。ここは「平等」が原則で、その考え方は「残高プロラタ」です。
「残高に応じて返済の割合を決めましょう」というのが通常です。その割合に従って、FCF×○%で決めた返済総額を、さらに、FCF×○%×□%で、各行の返済額を決めます。
□は、各行のプロラタ割合です。残高総額1億円で、金融機関Aの残高が4千万円であれば、□=40%となります。
こうして、各行に返済する返済額が計算できますので、各年度の残高が決まります。その次に、(前年度残高+今年度残高)÷2 で、残高の平均値を求めて各行の支払金利の利率を掛け算すれば、その期の支払い金利が計算できます。
各行、金利の利率は加重平均で計算してくださいね。金融機関Bが、①残高1億円の契約分が金利2%、②残高2千万円の契約分が金利4%であったとして、金利は単純平均の3%ではないですからね。ご注意ください。
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