【第13回】 未払金計画の立て方

未払金の計画として、単体で議論になることはまあないとは思いますが、貸借対照表上で大きく変動する可能性がある項目です。貸借対照表上で大きく数字が動くということは、CF(キャッシュフロー計算書)での重要な要素になります。

CFでの重要な要素であるということは、現預金の残高に大きく影響を及ぼすということですので、そうなると、適当に「基準年度の数字を横置きしました」では少し心配です。特に、計画期間中にで売上高が変動する場合は要注意です。

買掛金に相当する科目を「未払金」という表記とする会社もありますが、ここでは買掛金以外の未払金とします。法人税の未払金、消費税の未払金、他は確定している営業債務について扱う場合を想定します。

最後の「確定している営業債務について扱う場合」というのは、いったんPLに費用として計上しているが、何かしらの理由でまだ実際の支払は行っていないもの、ということになります。ですから、相手方と決めた支払金額、支払期間に従ってその金額を減額していく内容を計算させます。

例えば、基準年度にA社との営業取引上の未払金が2000万円存在していて、負債に未払金2000万円が計上されているとします。毎年500万円を支払っていくという内容であれば、未払金を計画1年目は1500万円、計画2年目には1000万円というように計算します。この未払金の仕分の相手方が「現金」であれば、貸借対照表上で「現預金」が減るだけの処理となります。PL(損益計算書)には費用として計上されません。債務の発生時にPLに計上されていたはずだからです。

財務三表での処理は、CF計算書の「営業CF」の中で計算させるのが通常ですので、貸借対照表上のセルの中で、現金を減らさないようにしてください。CF計算書の「営業CF」の中で、未払金の変動を計算させていれば(計算させていなければならない)、その変動は自動で現預金の変動に反映されるはずです。

次に、法人税の未払金、消費税の未払金ですが、法人税の未払金についてはタックスプランのところで解説済みです。タックスプランを作成する中で、法人税の未払金も計算されているはずです。

ですので、残りは消費税の未払金の計算方法を解説いたします。ここまで順番に作業を進めていった場合、損益計算書の計数計画がほぼ出来上がっている状態です。Excelの該当シートの下部の空いたスペースに、「課税売上」「課税仕入」のセルを作成しましょう。

課税売上は、基本売上の全部と、住居用以外で事業用として貸し出している物件で1000万円以上の売上があれば、課税売上です。課税仕入は、ざっくりと、人件費、法定福利費、行政手数料、自賠責/自動車重量税、減価償却費、住宅家賃、租税公課、寄付金、保険料、貸倒引当金です。

これらの項目のセルを足し引きして課税額を求めます。ここに消費税率をかけて消費税額を求めます。それぞれ、「仮受消費税」と「仮払消費税」ということになりますが、その差額はその期に払わなくてはならない消費税額に他なりません。通常、前年度の消費税額(国税)の金額に応じた前払いをしていまして、これを消費税の中間納付制度といいます。詳細は本解説では割愛しますが、中間納付した金額を、先ほど求めた金額から引いた金額が、その期の未払消費税になります。

まあ、実際のところ、その期に受け取った消費税をその期に全額払うというイメージで問題ないとは思いますが、事業計画上で計画1期目から未払消費税がゼロになっていて、「未払消費税は無視しました」と説明すると、「この先生(コンサル)、しっかりと計算できているかな。。。」と思われてしまうこともありました。私の若かりし頃の経験談です(笑)。


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