文字だけで説明するのが難しい項目なのですが、作る表は特別に複雑というわけではありません。重要なのは、法人税の有り無しで、手元に残るお金は大きく違ってくるといったところをきちんと把握しましょう、ということです。
具体的には繰越欠損金の存在がポイントです。まず申告書を用意していただき、別表7を見てください。繰越欠損金、つまり過去の赤字の金額が記載されているページです。ここに何も金額が記載されていなければ、基本的に(税額控除の制度の利用がなければ)毎期しっかり法人税が発生していきます。
ですが、別表7に数字が記載されているようなら、その合計額に利益が積みあがるまで、均等割以外の法人税は発生しません。
例えば、繰越欠損金の合計が1000万円存在していて、事業計画の1期目の利益が300万円、2期目の利益が500万円、3期目の利益が500万円の計画を策定したとします。この場合、1期目の300万円に対して法人税はかかりません。黒字を過去の赤字(=繰越欠損金)と相殺しているというイメージで理解してください。
この時点で繰越欠損金の残高は700万円です。計画2期目も黒字ですが法人税は発生しません。繰越欠損金の残高は200万円となります。3期目でようやく法人税が発生します。ですが、500万円に対して、法人税率30%(とします)をかけて150万円の法人税となるわけではありません。計画3期目では、繰越欠損金の残高は200万円ありますから、利益の500万円から繰越欠損金の200万円を引いた300万円に対してだけ、法人税がかかります。つまり、300万円×30%=90万円となるわけです。
こういったところを、年度年度ひとつずつ確認しながら計算していくのもよいですが、excelの算式をうまく作れば、ほぼ自動で計算させることも可能です。繰越欠損金には利用できる期限があるので、その点もお忘れなく。
また、上記の例で示した「利益」とは、税法上の「所得」です。税引前利益に、益金不算入、益金算入、損金不算入、損金算入を足し引きして調整したものが「所得」です。会社で目立った調整項目があれば調整したほうがよいですが、なければ税引前利益で計算させてしまってもよいでしょう。
また、この表から法人税額を計算できると、次の期の法人税の中間納付の額もわかります、さらに計画年度の期首の未払法人税の残高(貸借対照表の負債項目)も計算できることになります。
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