事業は現状維持でよいと思っていても、設備の老朽化によって入れ替えが必要になるかもしれませんし、大規模な修繕が必要になるかもしれません。これが事業の継続に必要な投資です。一方、発展については、競争力を高めるための機能アップした設備を購入したい、あらたな生産方式を取り込むための新設備を導入したい、新規の店舗を出店したい、外部委託していた配送を自社便とするためにトラックを購入したい、などなど、いろいろあるでしょう。
こういった投資は会社にお金がなければできませんから、ただ、調達したいタイミングで、投資計画に金額を計上すればよいというわけではありません。事業計画書を策定する事前段階で、コンサルタントが会社の事業内容分析から問題・課題を把握し、その設備投資が問題解決または課題対応に関連する設備投資であることが望ましいでしょう。
これは、事業計画書を策定する目的が、「リスケなど返済猶予を金融機関にお願いする」、「新たな資金調達を金融機関にお願いする」場合はなおさらです。前者は、金融機関に借りたお金を返さない(または約定弁済額にくらべてすごく少額)のに、自社では設備投資をバンバン行っている、というのは、やはり金融機関側からしたら違和感があるでしょう。後者の場合では、貸したお金がきちんと返ってくるかどうかの確認をするのは金融機関の担当者の重要な仕事です。そのために、その設備投資によってどれくらいの利益が創出されるのか、会社全体として返済原資が生まれる利益改善が行われるのか、そういったところをきちんと説明する必要があるからです。
さて、実際の数値計画の策定ポイントですが、投資計画では、投資時期、投資額をまず決めて、そこから減価償却額と残存簿価を計算していくことになります。投資時期と投資額はCF計算書の必要数値ですし、減価償却額はPLに必要な要素です。資産としての簿価はBSに必要な数値です。これらを、別々の表の中で計算させるのは極めて効率が悪いですし、各表間で数値の整合性が取れなくなる原因となります。ですから、投資計画のひとつの表の中で全部一緒に計算させるのがポイントです。そこから、各表に必要な数値をリンクさせるやりかたがよいでしょう。
減価償却の額は、科目をチェックして、定額償却なのか定率償却なのかを判別し、設備の耐用年数をチェックして、そこから償却率を当てはめて計算していきます。正確なことをいえば、償却保証額というのがありますので、このあたりも反映させることもあります。
投資計画は一度作ったら終わりではなくて、後で貸借対照表を作成して、事業計画年度において現預金がマイナスになるような計画であった場合(そんな計画はあってはならないので)、その理由が設備投資の支出によるものであれば、投資の時期を見直したり、その事前に借り入れを申し入れるなど、全体の調整が必要になることもあります。
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