この日は全員が会議室に集まって、食い入るように各自のパソコンの画面をのぞいていた。
「ここって、駅から何分?」
「綺麗なビルね」
「家賃高そう、坪単価はどれくらい?」
「駐車場はどうなるんだろう」
ついに移転先が決まったようだ。新社屋の場所はJRの町田駅から徒歩5分、全面を白いタイル貼りで覆った20階建のオフィスビルだ。ワンフロアの広さは今の10倍以上で、そこの2フロアを借りることに決まった。
もともと移転は、アスベスト対策というきっかけだったはずだが、今や風土改革を狙いとするためだということで全従業員が認識していた。「⑨部署ごとの壁の撤廃」の実行施策はそれを象徴するひとつであり、それに従うように、物理的に部署間の壁を作らない風通しの良いオフィスを作るという計画が進められていた。今のようなフロアが狭いオフィスビルでは、全員を収容しようとするとどうしても複数フロアにまたがり、結果部署間の壁ができることになる。
新しいビルではこのうち2フロアに全ての本社従業員が集う。これまでより部署間の会話が増えそうな予感がした。さらにオーナーや建築業者との調整と交渉によって、フロア間の移動に内階段を設けることになり、社内の移動にエレベーターを使う必要が無いことになりそうであった。
「これなら、今までみたいになかなか来ないエレベーターを避けて『メールで送ればいいや』っていうのがなくなりそうです」
加瀬が今居る縦に長いビル内での移動を想像した。
「そうね。メール送るより、そこまで行って話したほうが早いってなりそうね、いいじゃない」佐倉も同感だった。
「今年の新人はいいですね。研修が終わったらサラリーマン人生をこんな綺麗なビルでスタートできるなんて。自分が営業始めた頃なんてボロアパートみたいな店舗だったからね。思いだすと涙がでるよ・・・」
新社屋の写真を見ているはずの酒井は、新人営業だった頃にいた店舗を思い出していた。その後酒井の働きによって、少しは立派なマンションの1階に引っ越すことができたのだが、あの頃の記憶は強烈に残っている。
「加瀬さん、レイアウトはこれから決めるんですか?」先のことを気にした石沢が訊ねた。
「そうですね。そのあたりを小泉さんと話しているのですが、部署間のパーティションも置かない、なんと社長室も撤廃しようとしています」
「へえ、それは大分イメージ変わるね。なんか凄いことだよ、それは」
「石沢さん、だってそもそも風土改革プロジェクトじゃないですか。社長にも協力して頂かないとね」
「その案は社長も承認なの?」今度は酒井が訊ねた。
「これかららしいですね。役員へのレイアウトの説明については小泉さんたちのプロジェクトからするようなのですが、一緒に私と水戸さんも参加することになっています」
「それは楽しみだね。自分もこんな綺麗な所で働きたいな」
酒井は先程からずっと新社屋の写真を見つめていたが、水戸のほうをくるっと振り返るとその表情は何かを心配しているようだった。
「そういえば、水戸さん。4月になりましたけど、自分たちの所属はいままで通りですよね。一応自分は足立店長のままのようだし。先日野畑さんと雑談していたら、『当たり前だろ』って言われました」
「そうですね。前期と変わらずです」
「それはいいんですが、このプロジェクトが終わった後、自分らは元の所属に戻るんでしょうかね?」
「どうでしょう。私もまったくわかりません。山本さんから何も伺って無いですし、もちろん床井さんもそれについては何も口にしてませんね。半年後のことですけど、皆さん気にはなるでしょうから後でそれとなく確認しておきますよ。『今はプロジェクトに集中』って言われそうですけどね。ははは」
そう答える水戸の表情を加瀬が見つめていた。
<何か狙いがありそうな表情だな。けど今口にしないってことは何かあるのかな>
「酒井さんの話で思い出しました。もう4月ですよね。なんだかいつの間にか期が変わった感じですけど、4月ってことは前年度の評価の時期ですよね? 佐倉さん、今回はこれまでの基準で評価されるんですか?」水戸が佐倉を見た。
「さすがに新しい基準で評価ってわけにはいかないですよね」
佐倉の回答の前に加瀬が口を挟んだ。もちろん加瀬も評価制度の刷新を期待する一人だ。
「そうなるわね。期待してもらってるのにごめんね。今回は間に合わないわ」
「加瀬さん、頑張ってるからねー。今までの基準で『役職に相応しい能力』と『期待通りの業績』で、評価『B』じゃ浮かばれないよね」酒井が加瀬の頑張りを間接的に褒めた。
「上司である片山さんはまだ分かってくれているほうだけど、結局評価を決めるのは部長の原沢さんだからな。僕はこれまでは山本さんとの接点が多かったので、正直山本さんから評価して頂きましたけど、サブメンバーたちはかわいそうですよ」
「どういうこと?」酒井が訊ねた。
「サブメンバーがプロジェクトの決定事項を持ち帰って部内で広げようとしても、部長である原沢さんが全然興味を示さないんです」
「そうなの? 昨日山本さんが原沢さんに『部内の定着状況どうだ?』って質問していて、それに『なんとかうまくいってます』って言ってたよ。コミュニティスペースでそれを聞いていたんだけど、あえて何も言わなかった。というか言えなかった」
「そうなんですか!? まったく、あの人はいつもそうやって適当に話を合わせるんだ。自分は何もしないくせに」加瀬の表情が気色ばんだ。
「実はサブメンバーたちから相談受けてるんですよね。プロジェクトの内容に原沢さんが全然興味を示さないけど、自分の評価はどうなるんですかって」
加瀬の視線が下に落ちていたので、誰に応えを求めたのか一瞬わからなかったが、沈黙が訪れる前に水戸がそれに応えた。
「加瀬さん。プロジェクト計画書ちゃんと目を通してくれてないのかな? プロジェクトにアサインされたメンバーが不利な評価にならないように配慮するよう、計画書には書いてあるよ。それをキックオフのときに管理職の人には説明したはずだけど」
「もちろん、そこは読んでます。僕もそれをサブメンバーたちに説明はしましたが、肝心の原沢さんがそれを理解しているかどうか・・・」
太陽リフォームの現在の評価制度は、直接的には一次上司である課長が評価し、部内の調整を部長が行った後、本部長が最終確定を行うことになっている。係長は管理職扱いではないため評価は行わない。年度末に、本人が取り組んだ内容を実績として書き出し、それらの内容を踏まえて一次上司が能力と業績を評価する。これを一次上司の判断で、良い評価から「S」、「A」、「B」、「C」、「D」の5つにランクに分けし、能力評価と実績評価の平均値を最終評価とする。
片山が加瀬を、「能力は昨年と変わらず『B』だが、昨年よりは仕事の幅を増やし効率も上げたので『A』だ」と評価すれば、平均は「B」となる。それを二次上司である部長に提出し、原沢が「いや違う」と思えばその時点で修正され、部内全体の調整を行う。
これまでの評価には様々な問題点があった。そもそも能力評価と業績評価の平均を取るというやり方は、外部からやって来た水戸にとっては前代未聞だった。「おかしい」と思う人も当然存在し、山本さえも改善すべき事項として考えていたのだが、評価制度だけは手つかずに旧態依然として残っていた。
課長によって評価の程度にばらつきがあること、具体的には寛大化傾向があるものもいれば、厳格化傾向にあるものもいる。企業が人事評価を語るとき、問題として度々例示されるハロー効果が生じることもあれば対比誤差もある。それらに加えて期末誤差もあるのだが、それを逆手にとって2月、3月になると猛烈にアピールをし出すものも存在する。
佐倉や石井だけでなく女性にとって厄介なのは、直接の上司でなくとも評価と思わせる内容をちらつかせて、業務都合と見せかけて食事や飲み会を半強要する者もいた。紛れもないパワハラ、セクハラの類である。
毎年4月になると昨年度の評価が確定し、一次上司から「あなたの評価が決まりました」と特に説明もなく一方的に通達される。質問がある場合は一次上司と十分に話をするようにと言われる。
大海以外、誰もが能力と仕事ぶりと認める佐倉であるが、大海からの納得のいく説明を受けたこともなく、評価された側からの質問が細部になると「原沢部長が決めたから」と説明は打ち切られる。昨年の佐倉は「B」評価だ。新人も「B」、仕事はできないが口だけは達者なベテランも「B」、明らかに生産性の悪いメンバーも「B」だ。原沢の評価はいつもオール「B」だ。
こういった問題に取り組むために、風土改革プロジェクトでは、新しい評価制度には「透明性」、「公平性」、「納得性」が求められた。職務別の能力評価基準並びに業績についての目標管理制度の策定と、それらに加えて評価者訓練制度の導入も行う予定だ。さらに、単純に結果だけでなく、結果につながる行動も合わせて評価するコンピテンシーの考え方も導入する予定であった。佐倉と人事部それに各部署からのサブメンバーに加え、水戸が山本や杉本を巻き込みながら新制度の設計を行っていた。
このように、将来は期待できそうな予感がするが、それにしても今時点ではそんな評価制度だから、この時期になると憂鬱になる従業員が多い。それに関しては風土改革のプロジェクトメンバーも同様だった。
やるせなさがどっと体を支配し、メンバーたちの体にどっと疲れがのしかかった。
4月も中旬に差し掛かろうとする頃、桜の花びらが徐々に散り出していた。
久々の休日に羽を伸ばそうと、水戸は妻と子供とともに家の近くの公園に来ていた。家族でちょっと遅めの花見をするためだ。半年前に3歳になった子供が、宙を舞う花びらを掴もうと走り回っている。
広い公園の中で、シートを敷いた周りの地面は桃色の絨毯と呼ぶにはまだまだだったが、そんなことを思っていると、ふと昔ツアー旅行で行ったトルコの絨毯展示会のことを思い出した。
「昔トルコに行ったときさ、やけに日本語のうまい絨毯屋の社長いたよね」
「いたいた。『ダブルノット ダカラ ウラ ノ エガラ モ キレイ!』って今でも覚えてるよ。面白かったよね」
妻が横で体育座りをしている。
「うん、面白かった。あと、『ニホン デ カッタラ サンバイ ノ ネダン ネ』ってやつ。あれに乗せられて買っちゃったよね。あのときいくらで買った?」
「5万円じゃなかった?」
「そうだっけ。で、あれ今どこに敷いてるの? そういえば見ないね」
「実家にプレゼントしたじゃない」
妻はそう言って、水戸におにぎりを差し出した。
「ありがとう。あっそうか、そうだったね。仕事の都合で、いつだったか、インテリアコーディネーターの人と話したことがあるんだけど、あの値段って『生産地域のトルコ人の平均月収の5万円×製作月数』で決まるらしいよ」
「へー、そうなんだ。じゃあ、あれは1カ月くらいで作ったってことだ」
「そういうことになるね。でさ、興味あってその後、都内の絨毯屋さんに行ってみたら、同じの感じの柄のものが5万円で売ってたよ。ハハハ」
「そんなもんじゃない? あのときはそれで納得したからそれでいいのよ」
「そうだよね。『納得』だよね・・・」
走り回っていた子供がちょうど戻ってきて、お腹が減ったと言う。小さい手には桜の花びらが一杯にあって、それを離そうとしなかった。妻が「パパの横に置いて」となだめると、水戸の横にふぁさっとばら撒いた。その手をウェットティッシュで拭いてやると、小さな目なおにぎりを手にして勢いよく頬張った。。
そんな様子を見ていると本当に疲れが和らいだ。目を閉じて大の字になった。
「パパ、大丈夫? 最近ずっと大変そうよ。無理しないでね」
水戸は仕事の話を家ではしない。結婚する前からそれを知っているから、妻も家の中ではその話をしようとはしなかった。けれども、帰宅した後、眠りにつくまでのわずかな時間の中での夫の様子から大体を知ることができた。「今日は公園でゆっくりしよう」と言ってくれたのは妻だった。
<やっぱり家族っていいよな>
そう思いながら、水戸は子供が敷いてくれた桜の絨毯の上で少し眠った。
翌週、評価が一次上司から告げられた。
冷静な佐倉とは対照的に、明らかに怒りをあらわにした加瀬がいつもの会議室に入ってきた。
「まったくもって理解できないなー! 水戸さん聞いてくださいよー」
水戸が返事をする前に、加瀬は怒り冷めやらぬ様子で続けた。その内容は、加瀬がプロジェクトに専任していることによって、営業管理課全体の負荷が上がり、それが全体の生産性を下げたとのこと、という内容だった。
「それで結果は?」
「『C』ですって!! 最悪ですよ。なんなんだあいつ、ふざけんなよ!! プロジェクトは結果が出ていないから評価の対象にならないって言われましたよ。 全然納得いかない!」
「まあ、落ち着いて。加瀬さん」
さすがに水戸も「そんなことがあるのか」と感じつつ、組織である以上、加瀬の評価権は課長である片山と部長の原沢にあることを思うと、冷静にならざるを得なかった。過去にも業務監査で人事評価の運用をチェックしたことはあるが、監査基準となる人事評価基準が完全でないため「それはおかしい」と是正を迫ることもできず、ただ「『納得性』も『透明性』も『公平性』も無いように見受ける。モチベーションを低下させる大きな要因となっている」と報告をするに留まっていた。
「落ち着いてなんかいられないですよ。あー、もうモチベーションダウンだ!」
「佐倉さんはどうでした」水戸は冷静な様子の佐倉に訊ねた。
「この状況を変えたくて、このプロジェクトに参加しています。加瀬さんだけじゃなくて、業務部のサブメンバーも同様の扱いを受けている感じがしました。私の後輩も同じで『信じられない結果だ』と口にしていました。プロジェクトに携わっているメンバーには、原沢さんの評価は不当とも思えるほどです」
「そうですか。わかりました。事実確認が必要ですが、各課長の協力が必要ですね。片山さんと大海さんに確認してみます。これはプロジェクトとしてはきちんと対処しなくてはなりませんね」
「ええ、そうしないとみんなのモチベーションが下がってしまいます。みんながみんな、いい評価がほしくて風土改革プロジェクトに臨んでいるわけではないですが、低評価をされると精神的なショックは大きいです。自分のやっていることが否定されている気がします」
佐倉があくまで冷静に話した。
「佐倉さんの言うことはもっともです。何も間違ってませんよ」
水戸はすぐさま席を立って急ぎ足で会議室を出ようとした。ノブに手をかけたところで二人を振り返った。
「それに佐倉さん。君が冷静でいてくれてよかったよ」
それを聞いて佐倉はただ黙って頷いた。
「加瀬さん。先輩を見習って。ねっ」
そう言って二人の目を交互に見て会議室を後にした。
噂によれば、その話をした二日後に水戸が原沢に詰め寄ったとのことだ。就業時間内でまだ7階の従業員がいる中、水戸が原沢の机の前に立って何度も問いただしたとのことだ。周りにいた人によれば、あんなに激しい口調の水戸を見たことは過去になかったと話していた。それに原沢はのらりくらりと回答をしていたという。時にはうっすら笑みを浮かべながら、熱くなる水戸を「まあ、まあ、水戸さん。熱くならずに冷静に話しましょう」と何度も水戸を落ち着かせようとした。それでも変わらず熱く話す水戸を連れて場所を変えたようだ。プロジェクトメンバーはその様子を目にすることは無かったが、後になってそのことを聞いた。
それを聞いて加瀬はまた反省した。
自分のことで水戸が原沢に文句を言ってくれたということだけで、加瀬は満足だった。満足したというよりは凄く嬉しかった。自分の上司は認めてくれなくても、自分のために行動を起こしてくれた人がいると言うことが何より凄く嬉しかった。きっと佐倉も同じ思いだったに違いない。
<そういえば僕、まだ水戸さんに謝ってないな。今度もだ。僕は・・・>
「山本さん。ご相談があります」
水戸は定期的な山本への報告の中で、「大事な話です」と切り出した。
田舎の風景を思い出せば心が緩むし、静寂で落ち着いた空間にいれば心が和む。昔を懐かしむとなぜか「昔は良かった」と美化してしまうこともある。そういう人間は決して少なくない。だから、変わらないことを望む人もいて当然だと思う。しかし、会社は一度決意した風土改革を最後まで成し遂げなければならないという姿勢を明確に示す必要がある、水戸は山本にそう伝えた。
これまでも原沢は、評価の件で何度となく小さな問題を引き起こしている。その声が明確に役員に伝わっているかどうかは不明だが、評価の不満を爆発させて原沢に迫ったものが過去に何人かいた。その後、店舗に営業として異動を命じられたり、不満を押し殺せずに辞めた人間もいる。そこの所の繋がりを明確にさせないのが、原沢のうまいやり方だった。
「彼は全体が見えておらず、現場から勉強してほしいと思ったため、異動を進めた」
「彼女は相対的に見ても能力的に著しく劣っている。本人の為を思って厳しい指導をした」
上司である山本への説明はいつもそんな感じで、大きなお咎めも無く日常に戻った。
創業以来のメンバーと言うことで原沢の社員番号は一桁だ。貢献度はどうあれ床井や杉本とともに、この会社の発展に寄与してきたことは完全には否定できない。そんな先輩に山本も気を使っているのかもしれない。
「深いご事情があるのかもしれませんが、それは私にはわかりません。ですから『正論』を言ってしまうのですが、プロジェクト計画書にもその旨を記載して承認頂きました通り、相手が誰であろうと適切な対応をしなければならないと思います」
実は水戸がそう具申するのはこれで三度目だった。二度目までは「様子を見てくれ」と言われ、山本はそれ以上に手を打つことは無かった。(この件に関しては山本の動きは別人のようであった。)今回も状況が変わらなければこのプロジェクトの士気は大幅に下がる。そうならないためにも、これが駄目なら、次は床井に直訴するつもりであった。
しかしそれは山本の後ろ盾を無くしてしまうかもしれないということと同義である。それは組織の中で生きる人間にとっては明白なことだった。
<今回も駄目か・・・>
水戸は座ったままの山本に向かって、もう一言加えた。
「問題に対して役員たちがどういう対応をするかで、風土改革プロジェクトに対する会社の本気度合いを図ることができる。今がそのときだと思います」
実際には20秒も経っていなかっただろうが、その発言の後の沈黙が水戸には随分長く感じた。
<これは触れてはならないゾーンなのか・・・、だとしたらやばいな・・・>
「出過ぎた発言かもしれません、山本さんなら聞いて頂けると思って言わせて頂きました。失礼します」
部屋を出ようと、後ろを振り返ろうとしたとき、「わかった」と、山本が小さな声で呟いた。
「暫定的には私の権限でなんとかなるだろう。後は・・・、半年待ってくれないか。いいね、水戸さん?」
「わかりました。ありがとうございます」
数日後、原沢から片山と大海を通して、加瀬と佐倉の評価の訂正が伝えられた。プロジェクトのサブメンバーも同様だった。現行の「本部長推薦」という制度で部長の決定事項を一次上司、二次上司との調整を行ったうえで変更することができる。その制度を利用しての変更だった。
「いや、いいです。水戸さん。原沢さんにどう評価されようがいいです。ごめんなさい。いや、でもありがとうございます。水戸さんが僕らプロジェクトメンバーのために動いてくれてたってことだけで、それだけで十分です。ありがとうございます、申し訳ありません。なんかくだらないことで熱くなってしまって・・・」
「加瀬さん、なんだか、日本語が変だよ。ははは」
「水戸さん、私からもお礼を・・・ありがとうございます。後輩たちも評価に訂正が入ったようで喜んでました」
佐倉が丁寧なお辞儀をした。
「お礼なら山本さんに会ったときに一言伝えてください。それと僕に感謝なんていりませんよ。プロジェクトマネージャーですから当たり前ですって」
「お礼を言う代わりに、将来何かしらのプロジェクトで、みんながこの立場になったときに、同じことをメンバーにしてあげてください」
「はい!」
暫定的な対応であったが、会社としての姿勢は本気なのだと水戸は十分に理解した。
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