社労士さんに依頼したり、他社を真似て作るなどしたりした給与規定の場合、たいていの賞与規程は、こんな感じになっているはずです。
今回のお話の中で重要な部分はこれです。
賞与は人事考課賞与と会社業績を反映して・・・
細かい話をすれば、この場合の人事考課とは、従業員個人の能力や行動についての評価でなく、業績に直結する結果に対しての評価であることが一般的です。さらに、その評価結果に、会社全体の業績を加味した額を支給するとなっているのが、”通常”の賞与規程となっているはずです。
社長が特に賞与規程のありかたを見直したり設計したりした記憶がなければ、御社の賞与規程はこんなかんじのはずです。本来の賞与とは、個人毎の業績に対する結果や会社全体の業績に連動して上下するのが、あるべき制度のはずなのですが・・・
ところが、多くのケースで従業員はそうは思っていません。大抵の従業員は6月と12月は、
「やっときた、ボーナス月だー! やったー!」
と思っちゃっています。
これが現実であり、これがまた問題です。
会社全体の業績にかかわらず、固定的に毎回支給し続けてしまっている会社は、従業員側は「ボーナスもらえて当たり前」と思い込んでしまいます。賞与規程にしっかりそうではない旨を記載してあってもです。ここがポイントです。何度か貰い続けてしまうと、それが当たり前になってしまうのが、人間心理です。
これ、赤字から抜け出せなくなるひとつの理由です。
利益がでない状況で、賞与を儲かっているときと同じように支給してしまったら、それは赤字まっしぐらです。高校生でもわかる話です。「従業員のモチベーションを維持するにはボーナスは出さないと駄目なんだよ・・・、ボーナスカットしたら従業員やめちゃうよ」という弱音を漏らし、袋小路状態にならないうちに、賞与の支給基準を明確にしましょう。
基本的な考え方は、年度の予算に賞与支給相当分を組み込んでおくことです。予算通り利益が達成する見込みであれば、予算通りの賞与を支給すればいい、それだけです。予算未達になりそうであれば、どれだけ賞与を削れば赤字が回避できるのか。そのあたりを賞与支給月より前に、予算と実績を見比べながら損益をチェックしていく必要があります。
上の図は、賞与支給を見越した予算を組んで、実績と見比べながら賞与の支給額を調整していくイメージです。実際の運用は、ただ赤字になりそうだからといって賞与が全部調整弁になるかというと、そうではありません。期中、途中途中で、ちゃんと損益を試算表でチェックして、必要なコスト削減努力や受注強化について、従業員にも意識をもって対応してもらいましょう。
社長としての本音は、「ここで踏ん張らないとボーナスでないよ!!」といいたいところですが、それだと、なんかお金で従業員を釣っているような言い方になってしまうので、あまり直接は言いたくないセリフです。
このセリフを言わずとも、賞与がどんな性質のものなのか、しっかり従業員が自社の賞与制度を理解してくれてさえいれば、あとは、期中の損益をしっかり従業員と情報共有するだけでいいのです。にんじんをぶら下げるようなセリフを社長が言わなくても、従業員は
「利益をだなけれればボーナス減っちゃうよ。なんとかしなければ…」
となってくれる(人もいる)のです。まあ、こういった利益に対して高い意識を持ってもうらためには、ある程度の教育が必要なので、今回その話は横に置いておいて、今日のポイントは、
”賞与は当たり前のようにでるものではない”
ということを、
”早い段階で従業員にしっかり理解させましょう”
ということでした。